とうに日は暮れていた。
千坂空綺(ちさかあき)はビルの屋上から街を眺めていた。
涼しいとは言えない。
むっとする空気を纏った風が 空綺の顔の周りをうろうろしている。
汗が滲む首元に髪の毛が張り付く。
鬱陶しい。
だんだんと視界がぼやけていく。 光の輪郭が丸く膨張していく。
綺麗...なのだろうか。
仕事場に戻らないと。
そう思うのに、体は動かない。
トイレ長いなって上司に思われるだろうか、 サボりって思われるだろうか、
あぁ、結構もうどうでもいいかもしれない。